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泉屋博古館 二条城行幸図屏風 SEN-OKU HAKUKOKAN MUSEUM The Emperor's formal visit to Nijo Castle

日と月、四季のうつろいに見る
自然の循環と調和

国宝・日月四季山水図屏風(天野山金剛寺蔵)

本作品は、右隻に太陽と春夏の景観を、左隻に月と秋冬の景観をそれぞれ描いた、六曲一双の屏風です。
太陽と月を中央に対置し、左右で季節を分けて構成する手法は、中国や朝鮮の山水画にも類例が見られますが、
本作では日本的な表現様式が強く感じられます。制作時期は室町時代と推定されています。

右隻には、青々とした山々や松林が描かれ、春から初夏にかけての風景を表しています。
画面全体には明るさが広がり、生命力に満ちた雰囲気が表現されています。
一方、左隻では雪をいただく山々や、落葉した木々が配され、冬の静けさと厳しさが印象的に描かれています。

両隻には、堂々と構えた山をモチーフに、季節ごとに変化する山の姿、
生々流転する水の姿がダイナミックに表されています。
山間から流れ落ちる滝、海に揺らぐ波頭、山中にこもる深い霞、両隻を繋ぐ雲や雲海など、
自然の循環する姿を感じさせます。
波頭や雲は金箔の上に白や群青で彩られ、装飾性と象徴性を兼ね備えた表現となっています。
これらにより、本作品は「日」と「月」、「四季」の移ろいを通じて、
自然の循環と調和を描き出しており、ひとつの完結した時空間の宇宙を表しています。

この屏風は、行基が開き、空海が修行した天野山金剛寺(大阪府河内長野市)に伝来し、
現在も同寺に所蔵されています。
高さは約147cm、幅は約313cmに及び、寺院で行われた灌頂の儀式(イニシエーション)で
聖なる空間を創るための背景画として用いられていた可能性が高いと考えられています。

2018年、室町時代のやまと絵系作品としては初めて国宝に指定されています。

天野山金剛寺の協力のもと、京都大学のプロジェクトでこの屏風を高精細にデジタル化する取り組みが行われました。

国宝「日月四季山水図屏風」室町時代(推定)
所蔵:天野山金剛寺
画像提供:株式会社アートリサーチ

National Treasure "The Sun and Moon in Landscapes of the Four Seasons"
Owned by: Kongōji Temple
Image Courtesy of: ART Research Inc.

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